想えば叶うって?
風呂に浸かりながら。
想えば叶うって?
そんな経験を自分の引き出しから引っ張り出してみた。
大人になってからのそれは想いというより。
計算じみた達成ばかりで捨てた。
だからずっと昔にさかのぼらなければならなったけれど。
ひとつあった。
小学五年生の春だ。
野球をはじめて三年目。
その頃、オレにはヒーローが居た。
背番号「2」を背負った「青い稲妻」
そう呼ばれた一番打者だ。
一番打者として塁に出る仕事に熱心で。
ひと度出塁すれば、タタタタターって盗塁。
水色のバッティンググローブが鮮やかな。
スラリと細身のヒーロー。
もう憧れた。
物真似猿真似なんでも真似た。
四六時中真似た。
テレビで試合観てたら頭に死球。
オレまで痛くてのたうち回った。
「あんな一番打者になる!」
より。
「あの人になる!」
という想いの方が強かったかもしれない。
とにかく成りきって練習した。
それは純度が高い想いだったのだろう。
五年生なったばかりの朝に。
六年生のキャプテンが教室に来て言った。
「お前!新チームの一番打者だって!」
想いは叶うを経験した瞬間だった。
まあ。
その直後に親の転勤で一打席も立てないまま想いは終了。
転勤先でもう一度なんてグレて想えなかった時点で、野球の星に生まれていなかった。
だからその経験より。
想ったところで必ず邪魔が入る。
とか。
会社という組織が大嫌い。
そっちが染み付いてしまって。
なにかとその後は大変でしたが。
せっかく引き出しから引っ張り出してみたんだし。
想いは叶うって?
かもね!
ちょっと大事にしてみる。
AWESOME!
#720